彼らの実力を判断するのに、長い時間は必要なかった! 1曲目の「LOOP」が始まった途端、観客の視線はステージに釘付けになった。
4月にリリースした3曲入りのマキシシングル「リコール」がライヴ会場でよく売れているという噂のバンド、Jeepta。正直、音のみを聴いた時には、“たしかにいいバンドではあるけど……”といった程度の感想を持っただけであった。
しかし、今この瞬間、彼らのライヴを目にした時、それは愚かな勘違いであることに気がつかされた。もう、その場所から動くことができない。まるで、放つ音が意識を持った生き物のように聴く者の耳に、そして身体に絡みついてくる。
Jeeptaのサウンドは、何かに取り憑かれたかのように観客の視線を、そして意識を強引にステージの彼らに向けさせるだけの説得力があった。
鋭いカッティングとうねるようなリズム隊、そして、その上を雲のように流れる石井 卓(vo,g)の歌声。この4ピースは何者にも例えようがなく、何に例える必要もない彼らだけの個性だ。
バンドのリーダーでもあり、牽引役でもあるサトウ ヒロユキ(b)の中低域のグッと腹にくる低音。彼の指先は絶妙なニュアンスで曲に緩急を付けていく。また、紅一点の青木奈菜子(ds)とのズバッズバッと面白いように決まるコンビネーションは本当に痛快だ。それはサッカーの試合で面白いようにシュートが決まるとか、そういった類の気持ちよさにも似ていた。
ステージ上で、独特のパフォーマンスとファッション、そしてひょうひょうとしたステージングを見せる、choro(g)。彼の指先から溢れ出るフレーズは、まるで音をコラージュしていくかのようにJeeptaのサウンドに彩りを与えていく。
フロントマン石井の歌う詩世界は、どこか儚く、不確実ながら、どこか確かな自信を秘めたもの。それは“どんなに馬鹿にされても人気がなくても、いざとなれば自分にしかできないことがあるんだ”という、バンド名の由来にもなった絵本「しょうぼうじどうしゃじぷた」の話にも重なるところがあるような気がしてならない。
弱い者への憂いと決して媚びない自信。力強いバンドサウンドとは正反対とも言える、繊細で優しい一面が、彼らのひとつの魅力ではないだろうか?
今回ライヴ前に行ったExcite Music Mall掲載のインタヴューの中で、「決して音楽だけにはこだわっていない、何かを表現したい時、そこに楽器があった」という話をしていたが、彼らは楽器を絵筆に、ステージをキャンバスに、彼らの想う作品を描いていく。それは時に優しく、時には儚く、そして、どこか力強い。彼らの物語はまだ始まったばかりだ。〈取材:西沢八月/撮影:田上知枝〉
【SET LIST】 1.LOOP 2.日々無情 3.リコール 4.旅路 5.心の鳥

